2006年 10月 29日
映画「白い巨塔」(1966年) |
2003年にテレビドラマになって評判になりましたが、私は子どもの頃にみた田宮二郎主演のテレビドラマが強く印象に残っています。それで彼主演の劇場映画版も見たいと思っていたのでした。
映画は、週刊誌に連載されていた小説が最初に完結した時点で製作されたものです。映画を見て感じたのですが、そもそも山崎豊子氏が意図した物語の主役は、地位やお金に群がる人間が跋扈する医師の世界そのものだということです。現実の医師の世界がこの小説の通りかどうかは別として。
そういう意味では、主人公の財前五郎もいわば狂言回しで、財前に対比して、「地位にこだわらず、患者本位の医療を目指す医師」として登場する里見脩ニも映画では脇役です。(田村高廣さんが演じています)
小説の「白い巨塔」は、医学部教授選挙で財前が教授に当選し、医療ミスで訴えられた裁判の一審で勝訴して一旦完結します。里見が準主役として光を放ちはじめるのは、大学を退職したあと、物語が「続・白い巨塔」に入って、彼が地域医療に取り組み始めてからだと私は感じます。映画版ではその部分は描かれません。
映画では、個々の登場人物よりも、社会では尊敬されている「お医者さま」の世界がいかに欲得ずくのところかが印象に残ります。そんな医学や医療のあり方をどうすれば変えられるのか、という手がかりが示されないので、映画だけ見ると、「これでいいのかなあ」という疑問が残ります。
子どもの頃、山本學さん演じる「里見先生」がどうなるかが気になってテレビドラマを見ていた私としては、映画版では里見先生の出番が少ないのが、残念でした。
「続…」が発表された後のテレビドラマ化は、田宮氏が強く望んで実現したそうですが、テレビドラマとして長い時間をかけて、一人ひとりの登場人物をていねいに描けるようになったからこそ、映像化された「白い巨塔」も人間群像になりえたのでしょうね。
映画は、週刊誌に連載されていた小説が最初に完結した時点で製作されたものです。映画を見て感じたのですが、そもそも山崎豊子氏が意図した物語の主役は、地位やお金に群がる人間が跋扈する医師の世界そのものだということです。現実の医師の世界がこの小説の通りかどうかは別として。
そういう意味では、主人公の財前五郎もいわば狂言回しで、財前に対比して、「地位にこだわらず、患者本位の医療を目指す医師」として登場する里見脩ニも映画では脇役です。(田村高廣さんが演じています)
小説の「白い巨塔」は、医学部教授選挙で財前が教授に当選し、医療ミスで訴えられた裁判の一審で勝訴して一旦完結します。里見が準主役として光を放ちはじめるのは、大学を退職したあと、物語が「続・白い巨塔」に入って、彼が地域医療に取り組み始めてからだと私は感じます。映画版ではその部分は描かれません。
映画では、個々の登場人物よりも、社会では尊敬されている「お医者さま」の世界がいかに欲得ずくのところかが印象に残ります。そんな医学や医療のあり方をどうすれば変えられるのか、という手がかりが示されないので、映画だけ見ると、「これでいいのかなあ」という疑問が残ります。
子どもの頃、山本學さん演じる「里見先生」がどうなるかが気になってテレビドラマを見ていた私としては、映画版では里見先生の出番が少ないのが、残念でした。
「続…」が発表された後のテレビドラマ化は、田宮氏が強く望んで実現したそうですが、テレビドラマとして長い時間をかけて、一人ひとりの登場人物をていねいに描けるようになったからこそ、映像化された「白い巨塔」も人間群像になりえたのでしょうね。
by yasuko_kanda
| 2006-10-29 22:02
| 映画